愛知県高等学校教職員組合の委員長の高須です。
今回、貴重な審議の時間を割き、意見陳述の機会を与えていただきましたことを、委員会のみなさんに、先ずもって感謝申し上げます。

 さて、委員の皆さんもご存じのように、今日の教育と子どもをめぐる状況は大変深刻で、各地で衝撃的な少年・少女による犯罪が相次ぎ、いじめ、不登校、問題行動も頻発し、多くの国民が不安ともち、心を痛めています。
 このような状況を目の前に、現場の教職員は、子どもと教育を守り、子どもたちの豊かな成長と発達を願って、本当に頑張っているというのが私の実感です。
 委員のみなさんには、とりわけ困難な状況にある障害児学校や重点指導校といわれる教育現場の実態をつぶさにご覧いいただき、教育現場をリアルにつかみ、その上で論議をすすめてほしいと願う次第です。
 現場の教職員が納得できない制度を導入しても意味はありません。現場で懸命に働く教職員の目線に立ち、学校の教育力を高め、教員の成長につながる評価とは何か、充分に時間をかけて、慎重に論議をしていただきたい、このこととまずもってお願いしたと思います。

 私たちは、学校の教育力を高め、教員の成長につながる評価や教育の主体であり主権者である生徒・父母・保護者からの評価を否定するものではありません。しかし、教員にランクをつけ、給与に差をつけ、処遇に反映させる評価には強く反対します。
 教育活動は、「子どもたちの成長・発達」を目的とし、その活動は多面的であり、一人ひとりの教職員が力を合わせて行う共同の活動であり、チームワークが何より重要であることは、第1回のこの会議でも多くの委員から指摘されたことです。
 業績評価にもとづく成績主義賃金や処遇への反映は、競争を助長し、人間関係にも悪い影響を与え、仲間としての助け合いや学び合いなど職場の協同を脅かすものであり、教育活動に大きな弊害をもたらす可能性があります。業績主義の評価については、先進のアメリカやイギリス、日本の民間企業でも問題点が次第に明らかとなり、修正や制度の中止をおこなうところもあらわれています。
 加えて、評価の客観性や公平・公正さを保つことができるかという問題と合わせ、民間の効率優先、競争主義を教育の世界に持ち込むことがはたして妥当なのか、慎重な論議が必要と考えます。私は、成績主義賃金は教育現場にはなじまない制度であると考えています。

 教員評価を考える場合、誰が、何を、どのように、何のために評価するのかという視点を明確にすることが最も重要なことだと考えます。評価の目的は、教員の専門職としての資質・力量の向上を通して、よりよい教育を実現することにあると思います。
 教育活動が教職員の集団的、協同の営みであることからも、まず民主的・共同的な学校評価のあり方が論議されるべきであり、個々の教員評価は、民主的な学校評価を基礎として、その中に位置づけて行うべきものであることを強調して置きます。

 また、教員評価は、私たちの教育実践の質を規定するものであります。どのような評価項目・基準をたてるかが、大変、重要な意味を持ちます。基準をつくることが教育内容や教員の管理統制につながる危険性をもつことに十分な注意を払うことが必要です。さらに、行政による評価は、教育への不当な介入につながり、戦前の過ちを再び繰り返すことにもなりかねません。教育基本法10条にも抵触する違法なもので、やってはならないものと考えます。

 教員は、「わかりやすく、楽しい授業がした」とか「良い先生になりたい」という内発的な動機に基づき、自ら研修し、自分の教育実践に対して、同僚からの建設的な批判や子ども・父母からの意見や要望に耳を傾け、自身の実践を見つめ直すことを通して成長を遂げていくものです。その意味から、教員の成長のための評価があるとすれば、自主的な研修と自己評価を柱に、学校全体の教育活動に位置づけた評価が行われることが大切です。管理職評価についても、学校長の自己申告や評価は、学校全体の教育活動を具体化したものであり、学校長が個人的に行うものであってはならないと考えます。
 そのためにも、子ども・父母・保護者は教員の教育実践の質にかかわる本質的な論議への参加という形で教員評価に参加すべきだと考えます。憲法・教育基本法や子どもの権利条約を生かした、子ども参加、父母との共同の開かれた学校づくりをすすめることが何より大切なことと考えています。
 また、評価制度の根幹に触れる問題として、、評価結果の本人開示、不服申し立て制度の整備の課題があります。教員の成長のための評価を主眼とし、恣意的な評価を排除して、評価の客観性、制度の公正さを確保するために、結果の本人開示、不服申し立て制度は欠くべからざる要件であると考えます。
  
 私たちは、教育の条理に反し、職場に分断を持ち込み、教職員の管理統制につながる制度の導入には断固として反対します。そのような制度は教育にとって有害無益であるばかりでなく、教育を死に追いやるものです。
 いま、私たちに求められていることは、憲法・教育基本法の理念を真に学校現場に生かす努力です。現場では、多くの教員が自らの力量を高めるために、各種の研究会・学習会に自費で参加したり、「父母アンケート」で学校評価を聞いたり、「先生の通信簿」と称し生徒から授業評価を受けるなど、教育活動の改善のための真摯な努力が続けられています。
 また、開かれた学校づくりに向けて、学校父母懇談会を開催し、父母の意見・要望を聞くなど、参加と共同の民主的な学校づくりの営みも続けられています。

 わたしたちは、教員の専門家としてその職責の重大さを認識するが故に、教員評価制度については、今後も大いに論議し、積極的に意見を述べたいと思っています。そして、教員が人間として豊かに成長でき、力量を高める新しい評価のあり方を、みなさんともに知恵を出し合い、模索していきたいと考えています。 

 最後になりましたが、委員のみなさんには、教育現場の実態に即し、現場の教職員の願いや思いを受け止め、教職員を励まし、元気がでる報告をお願いして、私の意見陳述を終わらせていただきます。なお、私たちの意見の詳細については、別紙「見解」にまとめておきましたので、改めてご一読下されば幸いです。ありがとうございました。